雪の中に倒れた男と、すべてを変えた一匹の野良猫

猫はウォルターの数歩手前で立ち止まった。緑色の瞳が、雪の下に埋もれた街灯の光を反射している。鼻をひくつかせ、小さく鳴いてから、そっと近づいた。男は動かない。雪はもう足元を覆い始めていた。

猫は彼のまわりを一周、二周と回り、やがて胸の上に乗った。小さく体を丸め、ぴたりと寄り添う。吹雪は容赦なく続いたが、猫はそこを離れなかった。小さな体から伝わる温もりが、凍りついた服の中にじんわりと染み込んでいく。ウォルターの心拍は遅くなっていたが、まだ消えてはいなかった。夜が明けるころ、嵐はようやく静まり、除雪車がゆっくりと道を走っていた。眠そうな運転手がふと視線を向けると、雪の中に奇妙な影が見えた。近づいて目を凝らすと、そこには雪に半ば埋もれた老人。そしてその胸の上で、じっと見つめ返す小さなオレンジの猫がいた。

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